コーヒーを提供したい!客席10人編
当社は1962年より焙煎したコーヒー豆の業務用卸を行っております。
個人喫茶店、レストラン、カフェチェーン、ホテルなど業態は様々ではありますが、
まず最初にご質問頂くのがこのような内容です。
『コーヒーをお店で出したいのだけど、どうすればいいの・・・?』
『コーヒーを提供したいけど、初期費用はどれぐらいかかるの・・・?』
今回はこの疑問にお応えすべく、これまで対応してきた経験をふまえ客席10名程の店舗でコーヒーを提供するにあたり、
・どのような抽出方法があるか?
・初期費用
・メリット&デメリット
・提供できるメニュー
上記の内容を客席数10席を目安に簡単にまとめておりますので、これからお店を開くことを検討されている方に少しでもお役に立てればと思います。
※ペーパーなどの消耗品は含めておりません
※実際に導入・使用した機器のみで記載しております。
目次
目次
ペーパードリップ抽出での提供
概要:ご注文を受けてから、ペーパードリップで1杯ずつ抽出を行うスタイル
初期費用概算:¥62,800(税込み)
■メリット
・抽出のコントロールができる(味の自由度が高い)
・一杯ずつ抽出しているという演出効果がある
・注文後抽出するため、ロスが発生しない
・初期費用は比較的安い
■デメリット
・人による作業なので、抽出方法の規定化が必要
・1杯あたり2分間ほどの時間がかかる
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー、ホットオーレ、アイスオーレ
初期費用も安く簡単に始めることができます。
サイフォン抽出での提供
概要:ご注文を受けてから1杯ずつサイフォンにて抽出するスタイル
初期概算費用:¥125,520(税込み)
■メリット
・抽出時の演出効果が高い!(何してるんだ?という印象を持ってもらえる)
・抽出のコントロールが可能
・注文後抽出するためロスが発生しない
・コーヒーオイルが抽出でき、滑らかな味わいに(※濾過に用いるのが布の場合)
■デメリット
・サイフォンは意外と場所を占めるので、厨房内にスペースが必要
・抽出後の洗浄作業が手間で時間がかかる
・デリケートな抽出機で、雑に扱うとすぐ割れる(しかも高価)
・人による抽出作業なので抽出方法の規定化が必要
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー、ホットオーレ、アイスオーレ
昔ほど珍しい抽出方法ではありませんが、演出効果は高いので1杯あたりの価格も高く設定できます。ただペーパードリップ以上に抽出に時間がかかる点、サイフォンロートやフラスコがガラスであることを配慮してある程度余裕をもった作業スペースの確保が必要です。
ネルドリップ抽出
概要:ご注文を受けてから1杯ずつネル(布フィルター)にて抽出するスタイル
初期概算費用:¥70,720(税込み)
■メリット
・抽出のコントロールができる(味の自由度が高い)
・一杯ずつ抽出しているという演出効果がある
・注文後抽出するため、ロスが発生しない
・コーヒーオイルが抽出でき、滑らかな味わいになる
■デメリット
・人による作業なので、抽出方法の規定化が必要
・1杯あたり2分間ほどの時間がかかる
・ネルの洗浄に時間がかかる
・ネルは水に浸して保管する必要がある
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー、ホットオーレ、アイスオーレ
ペーパードリップでは濾過紙が吸着するコーヒーオイル成分を抽出液に移行することができるので、滑らかな口当たりになりやすいという点が最大の特徴です。ただし、ネル(布)は繊細なので、終業時には水洗い後、水に浸して冷蔵保存するといった管理が必要になります。
家庭用コーヒーマシン抽出
概要:家庭用コーヒー抽出機でまとめて抽出・保温し、注文受けたら注いで提供するスタイル
初期概算費用:¥53,020(税込み)
■メリット
・一度に5杯分まとめて抽出ができる
・粉量と水量を守れば味わいが安定する
・保温しておけばサーバーから注ぐだけで、工数が少なくオペレーションが楽。
・少量(2杯分)から抽出できる
■デメリット
・業務用に比べて保温能力が劣るので、15分~30分で抽出しなおしたい
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー、ホットオーレ、アイスオーレ
小回りの利く抽出が可能。保温能力はあるが、抽出する液体が少ない分煮詰まりやすいので、
注文を受けてからコーヒーを抽出するのか、数量が見込める時間帯だけまとめて抽出して保温しておく
のかを決めておく必要があります。2台持ちにして2種類のコーヒーを抽出可能にしている
お客様もいらっしゃいます。
業務用コーヒーマシン抽出
概要:業務用コーヒー抽出機でまとめて抽出・保温し、注文受けたら注いで提供するスタイル
初期概算費用:¥151,580(税込み)
■メリット
・1度にまとめて抽出ができる。(アイスコーヒーもまとめて抽出できて楽)
・保温しておけばデカンタから注ぐだけで、工数が少なくてオペレーションが楽。
・粉量と水量を守れば味わいが安定する
・杯数が多いほど粉量が少なくて済むので、1杯あたりの原価が下がる。
■デメリット
・保温時に徐々に風味は落ちるので、定時的に抽出しなおす必要あり
・少量での抽出ができないため、最小抽出量にあわせるとロスが発生する。
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー、ホットオーレ、アイスオーレ
まとめて大量抽出ができる反面、すぐには抽出ができないので常時保温しておく必要があります。
また保温性能にもよりますが、1時間に1度は抽出液を交換しないと煮詰まった風味になります。
ランチ・モーニングの忙しい時間帯はマシン抽出、余裕のある時間帯は上記にあるような器具で
1杯ずつ抽出するなど組み合わせることによって、オペレーションの改善が可能です。
フルオートドリップ抽出
概要:ボタンひとつで抽出し、完成後提供するスタイル
初期概算費用:¥1,229,800(税込み)
■メリット
・ボタンを押すだけで抽出が可能
・安定した味わいのものが抽出できる
・粒度、粉量、蒸らし時間、抽出時間等を設定できるので、風味の自由度がある
・ドリップ抽出なので、飲みやすい
・ミルクユニットを接続することで、アレンジメニューも簡単
■デメリット
・初期費用が高い
・設置スペース(360*577*697mm)が必要
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー、ホットオーレ、アイスオーレ(ミルクも自動対応)
初期費用としては高いですが、お食事をメインとするカフェではコーヒー抽出に時間をかけてる暇もないので、オペレーションがかなり楽になることから実際に導入いただいたこともあります。
コーヒー単体の注文数による売り上げ金額で機械費用を回収するにはコーヒー1杯¥400として、単純計算3,000杯以上でないと回収できないため、長い目で原価償却を考える必要があります。
フルオートエスプレッソ抽出
フルオートエスプレッソ抽出
概 要:ボタンひとつで抽出し、完成後提供するスタイル
初期概算費用:¥297,990(税込み)
■メリット
・ボタンを押すだけで抽出可能
・誰でも同じようなものが抽出できる安定性と再現性がある。
・ラテメニューに対応でき、メニュー数を増やすことができる
■デメリット
・エスプレッソ抽出なので、ホットコーヒーはアメリカーノ(エスプレッソ+お湯)になる。
ドリップ式の味わいに慣れている人には少し違和感があるかも
・初期費用が高い
・デザインカプチーノのようなものはできない
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー(アメリカーノ)カフェラテ、カプチーノ、
エスプレッソを用いるアレンジメニュー
一台でコーヒーだけではなく、エスプレッソを用いたアレンジメニューを作ることができ、
ドリンクメニューを豊富にすることが可能です。
セミオートエスプレッソ抽出機器
概要:半自動エスプレッソマシンにて、コーヒーを都度抽出
初期概算費用:¥1,382,700(税込み)
■メリット
・本格的なエスプレッソが抽出可能
・スチームワンドがついており、フォームドミルクが作れるのでデザインカプチーノが作れる。
・ディスプレイとしてもカッコイイ・・・。
・機械上部はカップウォーマーとしても使用でき、カップを温めることができる。
・お湯をだす機能付き
■デメリット
・エスプレッソ抽出なので、ホットコーヒーはアメリカーノ(エスプレッソ+お湯)になる。
ドリップ式の味わいに慣れている人には少し違和感があるかも
・専用のミル(粉砕機)が必要になり、本機と合わせるとよりスペースが必要になる
・機械に粉を詰める作業(ドーシング)の規定化が必要
・初期費用が高い!
■提供可能メニュー
ホット・アイスコーヒー(アメリカーノ)、カフェラテ、カプチーノ、
エスプレッソを用いるアレンジメニュー
コーヒー販売を主体としたカフェでは好まれますが、初期費用は軽自動車並みです。
ただ、幅広いメニューに対応できることや、カップウォーマーとしての機能、湯出し機能があるので、
非常に便利な機械です。
まとめ
ながながと記載してまいりましたが、簡単にまとめたのが以下の表です。
これまで説明してきた抽出方法を組み合わせることでより効率的にすることが可能です。
例えば、ペーパードリップ抽出と業務用コーヒーマシンを組み合わせることで、
忙しい時間帯ではマシンで抽出・保温したコーヒーがすぐ提供でき、落ち着いた時間帯では
一杯ずつ抽出して提供ができます。また、業務用コーヒーマシンで一気にアイスコーヒーを
抽出して、冷蔵庫で保冷しておけばすぐに提供が可能になります。
ペーパードリップ抽出と、セミオートエスプレッソ抽出を合わせることで、
カフェ感がグッと強くなり、様々なメニューを提供できるようになります。
具体的な器具・機器の名称を記載すると情報量が多くなるのであえて省かせていただきましたが、
名称が知りたい!抽出技術について聞きたい!というご質問ございましたら、
以下フォームよりお問い合わせいただければと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
今度はさらに客席数の多い20人編をUpしたいと思います。
投稿者プロフィール
- 西埜元成
-
アラブ珈琲株式会社の西埜元成(にしのもとしげ)と申します。
高校生の頃からコーヒーに関わる仕事を始めて早20年。
焙煎豆の挽き売り、生豆商社での経験を活かして生豆販売、
焙煎豆商品の商品設計、焙煎豆製品の製造管理、
自家焙煎店への生豆販売や焙煎サポート 等々コーヒーに関係する
業務に従事しております。
コーヒーに関係する質問や、お店の開店、焙煎方法等で質問ございましたら、遠慮なくご連絡ください。
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