SCAJ2025で見つけたドリッパー44種まとめ

大阪で業務用コーヒー焙煎豆、生豆卸をしておりますアラブ珈琲の西埜元成です。この度、年に一度開催されるSCAJ2025に行ってまいりました。
本記事ではコーヒー業界関係者が世界中から集まるこのイベントで展示されていたコーヒードリッパーを可能な限り撮影し、計44種見つけることができましたので、コーヒーを抽出するバリスタ必見!!となるようドリッパーの商品名や特徴を簡単にまとめてみました。
SCAJとは

この展示会は略してSCAJと呼ばれていますが、『SCAJ』とは日本におけるスペシャルティコーヒーの普及・消費の拡大を目的に設立された団体のことを指します。Specialty Coffee Association of
Japanの略称で『SCAJ』です。
本展示会の正式な名称は『SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2025』なのですが、省略してSCAJと呼ばれてます。
本展示会には以下のような業者が参加します。
・日本に生豆を買ってほしい『海外の生産者・ブローカー』・日本で生豆を販売したい『生豆商社・小分け販売業者』・自社のスペシャルティコーヒーを普及したい『ロースター・大手メーカー』・生豆を焙煎するために必要な機械を普及したい『焙煎機メーカー』・焙煎豆を抽出するための機械・器具を販売したい『器具・機器メーカー』・コーヒーに関連するシロップやフレーバーを販売したい『食品メーカー』
などなどコーヒーに関係する様々な業種の方が出展されていますので、コーヒーの最新情報をアップデートできる場として本当に有意義な展示会であると思います。

ドリッパーの選び方
色々な形状やデザインがあるドリッパーですが、
ドリッパーを選ぶ際には以下のようなポイントを判断基準にすればよいと思います。
抽出のしやすさ
穴の大きさや数、『リブ』と言われる溝の形状によってお湯の抜け方が変わりますので、
自由度の高い抽出したい場合は、穴が大きくて早く抽出することが可能なタイプ、
安定度の高い抽出がしたい場合は、穴が小さくてじっくり抽出することが可能なタイプがおすすめ。

扱いやすさ・実用性
・手入れのしやすさ
ドリッパーの洗いやすさ、乾きやすさは使い勝手に大きく影響します。毎日使うものであれば、なおさら。
業務用で使用する場合はドリッパーに取っ手があるかないかも検討したほうがいいです。熱すぎて持てない!なんてこともあります。
・素材の違い、耐久性
陶器系は熱を保ちやすく、本格感があるけど扱いに気を付けないと割れちゃう・・・。プラスチックは軽くて扱い易い、金属メッシュはペーパー抽出ではできないコーヒーオイルを抽出できる
などなど色んなメリット・デメリットがあります。
やはりお手軽なのはプラスチック製。
ドリッパーまとめ
SCAJに展示されていたドリッパー44種をまとめました!すべて使用したワケではないので、同社のHPでの情報や、当日のスタッフに説明頂いた内容を超簡素化して説明します。
なるべく注視して会場を回ったつもりですが、『ウチのがのってへん!』という方や、『説明テキトーすぎるやろ!』という方がいらっしゃいましたら、追加及び削除しますので、お手数ですがご連絡くださいませ。
HARIO

・HARIO V60 サーフボードベース
ついにドリッパーもサーフボードに乗る時代。
ボード自体には機能性は特にないと思いますが、円錐形ドリッパーを代表するハリオならではの独自性を感じる。

・コーヒードリッパースイッチサンライズ
坂口憲二さんとコラボしたドリッパーで、ドリッパーのデザインは空と夕日をイメージしてるらしい。
下部の抽出した液体をためておくスイッチ部分は砂浜をイメージしているそうです。いや~考えられてるなぁ。個人的にはこっちをサーフボードに乗せたい。

・V60ドリッパーネオ
72本あるリブ(溝)がお湯を均一に行きわたらせ、スピード感のある抽出ができるというハリオさんの新作。このSCAJ2025で初お披露目だったようで、すんごい人だかりだった。毎年のように新作を出してくるHARIOさんホントすごい。

・V60 ドリッパー SUIREN60
羽みたいなのは1枚ずつ取り外すこともできて、カラーリングも楽しめるという斬新すぎるドリッパー。画像のもミャクミャクみたいで可愛い。円錐ペーパーをセットして抽出が可能。普段からコーヒーを飲まない人には何かわからんやろなぁ・・・飲んでても初見ではキツイか?

・V60 チタンドリッパー
航空や宇宙分野、医療でも使用される軽量・高耐久・高耐食な『チタン』のドリッパー。
一見ペーパーレスの金属フィルター感ありますが、ペーパーをセットするタイプです。
チタンってだけでもうかっこいい。

・V60メタルドリッパー
チタンよりも少しお買い求め易い価格設定。
これはダイイチデンシさんとのコラボ商品。

・V60SPドリッパー
ハリオさんと、ポストコーヒーさんのコラボ商品みたい。様々なカラーリングがあっていっぱい買っちゃいそう。

・V60 カラーブリュー
V60シリーズ20周年記念として発売した商品だそう。20年前の私は19歳で、焙煎豆販売店兼カフェでバイトしてましたが、そのころは『円錐ペーパー??なんやそれは!』と言ってました。
本当にすみませんでした。

・Flow Dripper TRITAN
これまでのシリーズとはだいぶ異なる商品。文章での説明が難しすぎる商品なので、以下動画でご確認頂ければと思います。
三洋産業株式会社(CAFEC)

・フラワードリッパーDEEP27
ドリッパーの角度を27度にすることで、お湯を注ぐスピードと、落ちていくスピードが一緒になるので、お湯を一定に注ぎ続けるだけ安定した抽出ができますよ!というドリッパー。
とんがった専用のペーパーフィルターが必要です。

・フラワードリッパーオーバル
円錐に見えますが、扇形のドリッパー。扇形の底部に一旦湯が溜まる構造と、フラワー形状の独特のリブによってコーヒーの膨らみを妨げない仕組みがあるアイデアが詰まりまくったドリッパー。
ORIGAMI

・ORIGAMI DRIPPER M
20個あるリブの形状がスムーズな抽出を行えるドリッパー。お店で販売していた時は説明しなくても可愛いのでそこそこ売れたなぁ。
丁寧に扱わないとわれちゃうので、かわいがってください。

・ORIGAMI DRIPPER AIR
樹脂製のドリッパー。上記のドリッパーに比べると価格も安くて揃えたくなっちゃう。
マットなデザインが素敵で特に黒がすき。

・ORIGAMI ReWork Dripper
上記の陶器製ドリッパーと同形状で、製造時に粉砕したリサイクル磁器を20%用いたドリッパー。
このバニラアイスみたいな色もオシャレですなぁ~
KOGU

・珈琲考具 ドリッパー
ワイヤー構造で壁面が少ないので、ガスの抜けがよく均一にお湯が広がるのが特徴。取っ手もワイヤーでしっかり作られているあたりが良く考えられていると思う。

・珈琲考具 フィルターレスドリッパー
ペーパーなしでそのまま抽出ができるメッシュフィルター式のドリッパー。こういうメッシュ式のドリッパーは目詰まりしないように入念に洗う必要がありますが、コーヒーオイルを抽出可能。オイル独特の滑らかな口当たりと香りの違いは是非お試しください。
OREA

・OREA Brewer Glass Type A
大きな抽出口をしたガラス製のドリッパー。ペーパーはORIGAMIのバスケット型ペーパーを推奨しているそう。樹脂製ではなく、ガラス製なだけあって重厚感と高級感がありました。

・APRIL Hybrid Brewer
近々発売予定だそうで詳しい内容はわかりませんが、おそらく上記のガラス製ドリッパーに、抽出液を溜めて置けるスイッチ部がセットになったドリッパーだと思います。

・THE PERFECT BREWER
内部に粉を入れて、上からお湯を注ぐとお湯がバランスよくシャワー状になり、均一に粉にお湯がかかり、内部にセットしたペーパーで濾過されるという抽出器具。パーフェクトとは思い切りましたね!』とスタッフに言うと、『ホントに完璧なんです』と言われた。すごい自信だったので好きになりました。リンクも貼っておこう。
https://www.orea.uk/
MAVO

・STARTRATE COFFEE DRIPPER
円錐ペーパーも台形ペーパーもどっちも使用可能なドリッパーだそう。

・HYTRAC COFFEE DRIPPER
円錐ペーパー対応型のドリッパー。リブ(溝)がほとんどないのが特徴で、スピード感のある抽出ができるみたい。
メリタ

・RYUSOKU COFFEE FILTER
数字部分にあるスイッチで、抽出速度をコントロールできるドリッパー。これまでのメリタさんのドリッパーは1つ孔で安定度の高いドリッパーが特徴でしたが、コントロールが可能になって、自由度が上がっています。
カリタ

・ウェーブドリッパー
バスケット型の平らなペーパーを使用するので、粉に均一にお湯がなじみやすく、
長時間粉とお湯が接触しないウェーブゾーンによって、雑味のない抽出が可能だそう。
今回のハンドドリップ選手権では『珈琲オーダー焙煎まめとも』さんが使用していました。
その他(20種)
ここからは、メーカー名なのかブランド名なのか確認できなかった商品をまとめて紹介します。

・コニカル30シングルドリッパー
抽出口の角度が30度になっているドリッパー。ハリオのV60ペーパーを半分に折れば使用可能。また、このドリッパーに合わせたネルドリップも販売していた。

・MacMaカフェメタルクワトロ
金属フィルターなので、コーヒーオイルが抽出可能。また、微粉の混入を防ぐ独自のメッシュ加工が
されているステンレスのドリッパー。抽出時に外側からジワっと抽出液が滲み出る感じが素敵。

・フープコーヒーブリュワー
なんやこれ!とかなり驚きました。黒色の筒内にコーヒーの粉を入れ、外側の部分にお湯を注ぐと黒色部分の下側にあるち~さな穴から少しずつお湯が粉に入るので、均一した抽出ができるそう。
外枠から少しずつ抽出するも、黒色の筒内に入れて抽出速度をあげるのもアリだそう。

・BEANDY Silk Dripper
コーヒーの流れを一定にするために底面の独自の花びら形状と傾斜を設計。
底部を花びら形状にすることで、抽出液が一か所に集まりやすく味わいが安定するそう。

・ZEROHERO 可変速度 ドリッパー
ちょっと見づらいですが、バスケット型のフィルターをセットできます。本体を回すと抽出口の大きさを変更することが可能で、抽出速度を変えれる。

・UFO DRIPPER V2
抽出の内部角度が80度もある超広角ドリッパー。とっても自由度が高そう。今回のJBrC決勝ではこれを使用された方が優勝されたみたい。

・GXU DRIPPER
リブが少ないタイプのドリッパー。ネット上ではあまり情報なくて、私のち~さな脳みそではそれぐらいしか覚えておりません。。。

・Auril U70 Dripper
台湾の岩鉱を用いて製造された台湾製のドリッパー。底部のリブと1つ孔で雑味なく、安定した抽出が可能とのこと。

・SOLO DRIPPER
写真ではわかりませんが、抽出口が結構大きくスピーディー抽出が可能だそうです。
上の黒いのは別売り。粉の上にこれを置き、その上からお湯を注ぐと均一にお湯が粉に浸透し、
より安定した抽出が可能だそう。色々かんがえるなぁ~~

・CT62 Coffee Dripper
ドリッパーの角度が62度で、内部のリブによって効率的で安定した抽出ができるそう。

・Dripper 50
ドリッパー内部の角度が50度にして、さらに抽出口も大きくすることで、鮮やかでクリアーな味わいを抽出できるようにしたドリッパー。見た中では抽出口が一番おおきかったと思う。

・Suprima Dripper SD1
縦にリブが入るドリッパーが多い中、横方向にリブがあるのでゆっくりと抽出ができるドリッパー。
インドネシアのブリュワーズチャンピオンが設計されたそう。

・JIGSAW DRIPPER
ジグソーという商品名通り刃がついたような形状が私のような厨二にはたまらぬ。XIONG&YANG という会社なのかブランドが販売しているみたい。

・METAL-TIMECAFÉ Pronto
円錐型ペーパーで抽出できるドリッパー。リブも大きく、抽出口も大きいので抽出速度はかなり早いみたい。

・Keith チタニウムドリッパー
26,000個もの穴がある金属性のドリッパー。やっぱりチタンはかっこいい。(チタンとチタニウムは呼び方がちがうだけで、同じらしい)

・MHW-3BOMBER Eggnaut Dripper
卵型のドリッパー。内部に粉をセットして、上からお湯を注ぐと均一に粉にお湯がかかり、ペーパーで濾過された後、下部にある穴から均一に抽出されるドリッパー。専用の入れ物もあって可愛い。

・日本製波佐見焼コーヒードリッパー
縦型の長いリブがあるドリッパー。波佐見焼だけではなく樹脂製もあり。円錐型のドリッパーだけど取っ手をつけてくれてるのが優しい。

・PLUSMOTION ブラックメタルメッシュドリッパー
ペーパーいらずの金属メッシュフィルターを使用。メッシュが2重構造になっているので、微粉が入らず、クリアな味わいとオイル感のある味わいが楽しめるそう。

・Wilfa Svart BLACK Pour Over
ドリッパーを回すことで、抽出口の開閉と調整が可能なので透過式抽出と、浸漬式抽出のタイミングを
細かく設定できるというもの。小さめの1つ穴タイプなので、安定した抽出ができそう

・FLO DRIPPER
2重のステンレス構造で保温性も高そうなドリッパー。抽出口に抽出速度を設定できる
プレートが3種類ほどあり、遅い・普通・速いの3種類で抽出ができるそう。

・Clever Dripper
ドリッパーにお湯を入れ、一定時間経ったあと攪拌し、カップやサーバーの上に置くと、
抽出口が開いて抽出がでてくるドリッパー。浸漬による抽出時間がながく、粉量やお湯の量、
接触時間を一定にすれば安定した味わいが抽出が可能というもの。う~~んかしこい。
まとめ
合計44種のドリッパーについて説明してまいりましたが、お好みのドリッパーはありましたか?
私は自由度が高くてかわいいORIGAMIと、厨二心くすぐるジグソードリッパーに惹かれました。
メーカーごとの新作や独自のアイデアを比べてみると、抽出口の大きさ、角度、リブの形状や方向性、浸漬と透過を切り替える可変システムなど…、ドリッパーひとつでも本当に多彩なアプローチがあることに改めて驚かされます。
コーヒーの味わいを左右する最終工程「抽出」。
ここにこれだけの工夫が詰まっているのですから、まだまだ奥深く、学び続ける価値があると感じました。ぜひ皆さんもお気に入りのドリッパーを探してみてください。
投稿者プロフィール|Author profile

- 西埜元成営業部 部長
-
アラブ珈琲株式会社の西埜元成(にしのもとしげ)と申します。
高校生の頃からコーヒーに関わる仕事を始めて早20年。
焙煎豆の挽き売り、生豆商社での経験を活かして生豆販売、
焙煎豆商品の商品設計、焙煎豆製品の製造管理、
自家焙煎店への生豆販売や焙煎サポート 等々コーヒーに関係する
業務に従事しております。
コーヒーに関係する質問や、お店の開店、焙煎方法等で質問ございましたら、遠慮なくご連絡ください。
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