【保存版】カフェ開業前に必要な申請・届け出まとめ|個人開業で失敗しないチェックリスト

アラブ珈琲の西埜元成です。当社では大阪市北区にて 焙煎豆・生豆の業務用卸、ドリップパックOEM、小ロットからのオリジナルブレンド提案 を行っています。
カフェをオープンする際、内装やメニュー作りに意識が向く一方で、申請や届け出が後回しになりがちです。
実際に開業直前になって「もっと早く知っておけばよかった…」という声を、現場で何度も聞いてきました。
この記事では、これから個人でカフェ(飲食店)を開業する方に向けて、開業前に必要な準備や申請・届け出を、チェックリスト形式でわかりやすく整理しています。
目次
【まずはここだけ】カフェ開業前の準備・チェックリスト
開業前に最低限確認しておきたい項目です。
- □ 飲食店営業許可(保健所)
- □ 食品衛生責任者の設置
- □ HACCPに沿った衛生管理の準備
- □ 個人事業の開業届(税務署)
- □ 青色申告承認申請書(節税対策)
- □ 防火管理者選任届(消防署)
- □ お酒を提供する場合の手続き
- □ ゴミ処理契約(事業系一般廃棄物)
- □ 看板・屋外表示の確認
店舗の条件によって不要な項目もあります。以下でそれぞれ詳細を解説します。
「すべてを完璧に準備する必要はありません。まずは“必要かどうかを知る”ことが大切です。」


カフェ開業前に必ず必要な申請・届け出【個人開業】
飲食店営業許可(保健所)
カフェを開業する際、**必ず必要になるのが「飲食店営業許可」**です。これはコーヒーのみを提供する場合でも例外はなく、営業開始前に取得していなければ営業できません。申請には以下のような内容が必要です。申請はWEBでの申請や保健所の窓口で可能です。
- 営業許可申請書(自治体名+飲食店営業許可で検索)
- 店舗図面
- 食品衛生責任者の資格証(後述)
- 申請手数料(自治体によって異なります)
- 提出先:店舗所在地の保健所
- 申請時期の目安:オープンの10日~14日前までには
申請後は、保健所職員による現地検査がおこわなれます。チェックされる主なポイントは以下の通りです。
- 二層シンクが設置されているか
- 手洗い設備(石鹸・消毒)があるか
- 冷蔵庫・防虫対策ができているか
- 作業導線が衛生的か
- HACCP(ハサップ)の考えを取り入れた衛生管理が行われているか
よくある施工トラブルについて
よくあるトラブルとして、施工業者に飲食店の施工実績が少ない場合、店舗が完成した後になって「二槽シンクを設置するスペースが確保できていない」というケースがあります。
飲食店の施工に慣れている業者であれば、保健所の基準を踏まえて事前に確認してくれますが、そうでない場合は見落とされてしまうことも少なくありません。そのため、内装工事を進める前に、図面を持って保健所へ事前相談を行い、必要な設備要件を確認したうえで施工に進むことをおすすめします。

HACCP(ハサップ)とは何か?
HACCPとは食品を安全に提供するための衛生管理の考え方のことで、正式には『Hazard Analysis and Critical Control Point』(危害要因分析・重要管理点)の頭文字を取ったものです。個人でカフェを開業する場合、この言葉自体を覚える必要はありませんが、『食中毒などのリスクを、事前に防ぐための管理をしましょう』というものです。
なぜHACCPが必要になったのか?
これまでは『とにかく清潔に』『経験と感覚で管理する』というやり方が主流でした。しかし、
- 店舗ごとに管理レベルに差がありすぎる
- 問題が起きてから対処するケースが多い
といった背景から、2021年6月よりすべての飲食店でHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。現在はカフェ・喫茶店・テイクアウト専門店など規模や業態に関わらず対象となっております。
では具体的に何をすればいいの?
「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、個人経営のカフェでは、次の考え方で問題ありません。
- HACCPの考え方を取り入れた管理 でOK
- 簡易的な計画と記録で十分
- 保健所が用意している様式を使えば問題なし
大阪府のHPに飲食店の手引書、衛生管理計画及び記録表様式がありますので、こちらをご覧いただければと存じます。
現在、飲食店営業許可を取得する際には、HACCPに沿った衛生管理を行うことが前提となっており、営業許可を申請する際に、『HACCPの管理はどうしてますか?』と確認されることもあります。また、自治体によっては衛生管理計画書の提出を求められる場合もあります。
とはいえ、完璧な書類が必要というわけではなく、保健所や食品衛生協会が配布している『業態別HACCP様式』にて『こちらで管理しています』と返答できれば十分です。
HACCPに関するまとめ
HACCPと聞くと難しく感じるかもしれませんが、実際は「普段の衛生管理を見える形にする」だけです。開業前の段階で準備しておくと、保健所対応もスムーズに進みます。
対応自体は決して難しいものではありませんが、万が一、自店で提供した食品が原因となり、食中毒や異物混入といった事故が発生した場合、その影響は非常に大きなものになります。だからこそ、HACCPの書類は「形だけ整えるもの」ではなく、リスクを未然に防ぐための仕組みとして、しっかり作り込むことをおすすめします。

食品衛生責任者の設置
飲食店を営業する場合、必ず「食品衛生責任者」を1名以上設置する必要があります。これはカフェや喫茶店など、提供内容や店舗規模に関わらず共通のルールです。
- 届出先:店舗所在地の保健所
- 設置期限:営業開始まで
食品衛生責任者は、店舗内の衛生管理について責任を持つ立場となり、日々の衛生管理やHACCPに沿った管理を行う役割を担います。
食品衛生責任者になるには?
A.資格がない場合(多くの個人開業者はこちら)
資格がなくても、食品衛生責任者要請講習を受講すれば取得できます。
- 講習時間:おおよそ 1日(5~6時間程度)
- 取得方法:
- 会場での対面講習
- WEB(eラーニング)講習(対応している自治体の場合)
最近では、WEB講習に対応している地域も増えており、開業準備で忙しい方でも取得しやすくなっています。
B.有資格者の場合
以下のいずれかに該当すれば、食品衛生責任者になることができます。
- 調理師
- 栄養士
- 製菓衛生師 など
これらの資格を持っている場合は、講習を受けずに食品衛生責任者になることが可能です。
保健所では何を確認される?
飲食店営業許可の申請時や立入検査の際に、
- 「食品衛生責任者は誰ですか?」
- 「資格証(修了証)はありますか?」
と確認されます。そのため、
- 修了証の写しを保管しておく
- 誰が責任者か明確にしておく
ことが大切です。複数人で運営する店舗の場合はオーナーが取得することをおすすめします。(取得した人に辞められたりすると、急に忙しくなるのに『取得に行く時間がない・・・』なんてことになりますし、保健所対応をスムーズです。

個人事業の開業届(税務署)
個人でカフェを開業する場合、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。
これは、「事業を始めました」と税務署へ届け出るための書類です。
- 提出先:事業所所在地を管轄する 税務署
- 提出期限:開業後 1か月以内
開業届は①e-Taxで(オンライン)②国税庁の公式サイトからダウンロードする、③税務署の窓口でもらう、等々の方法から取得できますが、e-Taxでの申請が最も簡単です。
開業届を出さないとどうなる??
「出さなくてもバレないのでは?」と思われがちですが、
提出しないことによるデメリットの方が大きいのが実情です。
- 青色申告ができない
- 事業としての証明がしづらい
- 融資・補助金・契約時に不利になる
罰則がない=出さなくていい、ではありません。『売上がでてからでいい』『小規模だから不要』『副業扱いだから関係ない』いずれも誤りで、事業として営業を開始した時点で提出が必要です。
開業届と一緒に出しておきたい書類
青色申告承認申請書(ほぼ必須)・・・個人でカフェを開業する場合、
青色申告の承認申請書は必ず一緒に提出することをおすすめします。
- 提出期限:開業から 2か月以内
- メリット例:
- 最大65万円の特別控除(条件あり)
- 赤字の繰越が可能
- 経費管理がしやすくなる
開業届+青色申告申請はセットと覚えておくと安心です。
まとめとして、
- 個人でカフェを開業する場合、開業届は必須
- 提出期限は開業後一ヶ月以内
- 青色申告申請書は必ず同時提出
- e-Taxを使えばオンラインで完結
条件によって必要になる申請・届け出

防火管理者選任届(消防署)
客席のあるカフェを開業する場合、「防火管理者選任届」の提出が必要になるケースが多くあります。
これは、火災を未然に防ぎ、万が一の際に安全に対応するための体制を整えることを目的としたものです。
- 提出先:店舗所在地を管轄する 消防署
- 提出時期:営業開始まで(できれば開業前)
防火管理者選任届が必要になる条件
すべてのカフェで必須というわけではありませんが、次の条件に当てはまる場合は、ほぼ対象になると考えてください。自分で判断せず、店舗図面を持って消防署に必要かどうかを確認することが一番確実です。
- 客席がある飲食店
- 客席面積が 30㎡以上
- ビル・テナントに入っている店舗
- 不特定多数の人が出入りする形態
特に、テナントビル内のカフェは規模が小さくても対象になることが多いため注意が必要です。
防火管理者とは何をする人?
防火管理者は、店舗内の防火・防災管理の責任者です。主な役割は以下の通りです。
- 火気設備の管理
- 避難経路の確認
- 初期消火体制の整備
- 消防計画の作成・管理
防火管理者になるには?
防火管理者になるためには、消防署や指定機関が実施する講習を受講する必要があります。
- 講習日数:1日または2日(自治体・区分による)
- 講習修了後、修了証が交付
この修了証をもとに、防火管理者選任届を提出します。
防火管理者選任届とあわせて必要なもの
多くのケースで、「消防計画」の提出も求められます。
消防計画には、
- 火災予防の方法
- 避難誘導の手順
- 火気使用時の注意点
などを記載します。※ 書式は消防署のホームページにテンプレートが用意されていることがほとんどです。
まとめ
- 客席があるカフェは 対象になる可能性が高い
- 特に 30㎡以上・テナント店舗は要注意
- 講習 → 選任届 → 消防計画、の流れ
- 迷ったら 消防署に事前確認

お酒を提供する場合に必要な手続き
カフェでお酒を提供する場合、「どのように提供するか」「何時まで営業するか」によって、
必要な手続きが変わります。まず大前提として、お酒を扱うからといって、必ずしも酒類販売免許が必要になるわけではありません。ここを正しく整理しておくことが重要です。
店内でお酒を提供するだけの場合(もっとも多いケース)
店内でグラス提供するだけであれば、基本的に追加の免許は不要です。
- ビール・ワイン・ウイスキーなどを店内で飲ませるだけ
- ボトルの販売・持ち帰りはしない
この場合は、飲食店営業許可(保健所)があれば営業可能です。「カフェ+アルコール少し」という形態であれば、このケースに当てはまることがほとんどです。
お酒を販売・持ち帰りする場合(要注意)
次のような場合は、酒類販売免許が必要になります。
- ワインやビールをボトルで販売する
- クラフトビールをテイクアウト用に販売する
- ギフト用として酒類を販売する
この場合に必要なのが、一般酒類小売業免許です。
- 提出先:税務署
- 取得期間:1〜2か月程度
開業スケジュール上、オープンに間に合わないケースが非常に多いため注意が必要です。 実務的には
オープン直後は店内提供のみにするという判断をされる店舗が多くなっています。
22時以降にお酒を提供する場合
営業時間が22時を超える場合、さらに『深夜種類提供飲食店届』が必要になります。
- 提出先:警察署
- 提出期限:営業開始の10日前まで
対象となる条件は、
- 22時以降に営業
- お酒を提供する
この2つが揃った場合です。
防火管理との関係にも注意
アルコールを提供する店舗は、
- 滞在時間が長くなる
- 客席での事故リスクが上がる
といった理由から、消防署のチェックがより厳しくなる傾向があります。防火管理者選任届や消防計画とあわせて、酒提供の有無は正確に伝えるようにしましょう。
まとめ
- 店内提供のみ → 追加免許は不要
- 持ち帰り・販売 → 酒類販売免許が必要
- 22時以降+酒提供 → 警察署への届出が必要
- 判断に迷ったら 事前に確認するのが最善
意外と見落とされがちな開業前の実務準備

ゴミ処理契約(事業系一般廃棄物)
カフェから出るゴミは、量の多少に関わらず**「事業系一般廃棄物」**として扱われます。
そのため、家庭ゴミと同じように出すことはできません。原則として、自治体または許可業者とのゴミ処理契約が必要になります。事業系一般廃棄物とは、事業活動によって発生する一般廃棄物のことです。カフェの場合、例えば以下のようなものが該当します。
- コーヒーかす
- 紙くず・段ボール
- 食品残渣
- テイクアウト容器
たとえワンオペで、ゴミの量が少なかったとしても、事業から出たゴミである以上、事業ゴミ扱いになります。
ゴミ処理契約は必ず必要?
結論から言うと、『規模に関わらず必要』です。ただし、自治体によっては、
- 「少量に限り、市の指定袋で可」
- 「事前申請をすれば家庭ゴミ扱い可」
といった例外的な運用がある場合もあります。これは 自治体ごとの判断 であり、自己判断で家庭ゴミとして出すのは避けるべきです。
ゴミ処理契約の方法
主な方法は、次の2つです。
① 自治体と契約する
- 市区町村が直接回収する方式
- 手続きが簡単な場合が多い
② 許可業者と契約する
- 民間の回収業者
- 回収頻度や曜日を柔軟に設定できる
どちらが可能かは自治体によって異なります。
まとめ
- カフェのゴミは 事業系一般廃棄物
- 規模に関係なく 原則ゴミ処理契約が必要
- 自治体ごとのルールを必ず確認
- 保健所検査でも聞かれることがある

看板・屋外表示
カフェを開業する際、意外と見落とされがちなのが看板や屋外表示に関するルールです。「小さな看板だから大丈夫」「個人店だから問題ない」と思われがちですが、自治体によっては届出や規制の対象になる場合があります。
屋外表示とは?
屋外表示とは、主に次のようなものを指します。
- 店舗前の看板(壁付け・スタンド看板)
- 袖看板
- 窓ガラスへの店名・ロゴ表示
- のぼり・バナー
- 外壁へのロゴや文字の掲示
これらはすべて、「屋外広告物」またはそれに準ずる扱いになる可能性があります。
なぜ規制があるのか?
屋外表示には、
- 景観の保全
- 歩行者・車両の安全確保
- 近隣への配慮
といった観点から、サイズ・設置場所・照明の有無などに制限が設けられています。特に以下のエリアでは注意が必要です。
- 商店街・繁華街
- 住宅地
- 景観条例がある地域
届出が必要になるケース
自治体によって基準は異なりますが、
次のような場合は 届出や確認が必要になることがあります。
- 一定サイズ以上の看板を設置する場合
- 照明付き・電飾看板を設置する場合
- 公道に面して設置する場合
- 歴史地区・景観地区に該当する場合
「必ず届出が必要」というより、「確認が必要」と考えるのが安全です。
まとめ|カフェ開業前に大切なのは「早めに全体像を知ること」
カフェを開業する際は、内装やメニューづくりに目が向きがちですが、実際には 申請・届出・実務準備 も同じくらい重要です。今回ご紹介した内容を振り返ると、開業前に確認しておきたいポイントは以下の通りです。
- 飲食店営業許可(保健所)
- 食品衛生責任者の設置
- HACCPに沿った衛生管理の準備
- 個人事業の開業届・青色申告
- 防火管理者選任届(条件による)
- お酒を提供する場合の手続き
- ゴミ処理契約(事業系一般廃棄物)
- 看板・屋外表示の確認
これらは、すべての店舗で必ず必要になるものと、条件によって必要・不要が分かれるものが混在しています。そのため、「すべてを完璧に準備しよう」とするよりも、「自分の店には何が必要なのかを把握する」ことが何より大切です。
最後に
もし、
- 「この条件の場合は何が必要なんだろう?」
- 「自分の店は、どこまで準備すればいいのか分からない」
- 「開業前に一度整理したい」
と感じたら、
開業前の段階でも気軽に相談してみてください。
実際の店舗条件をもとに、「今やるべきこと」「まだ決めなくていいこと」を整理するだけでも、
開業準備はぐっと楽になります。ここまでご覧頂きありがとうございました。
こちらもご覧ください。
投稿者プロフィール|Author profile

- 西埜元成営業部 部長
-
アラブ珈琲株式会社の西埜元成(にしのもとしげ)と申します。
高校生の頃からコーヒーに関わる仕事を始めて早20年。
焙煎豆の挽き売り、生豆商社での経験を活かして生豆販売、
焙煎豆商品の商品設計、焙煎豆製品の製造管理、
自家焙煎店への生豆販売や焙煎サポート 等々コーヒーに関係する
業務に従事しております。
コーヒーに関係する質問や、お店の開店、焙煎方法等で質問ございましたら、遠慮なくご連絡ください。







