コーヒー相場2023年6月末時点
この6月中もアラビカコーヒー相場はロブスタ種の在庫薄や相場高といった状況から大きく動きましたが、本記事を作成している7月初旬ではブラジルでの収穫良好というニュースから、今年はじまって最も相場価格が低かった1月の相場価格まで下がりました。ただ、まだまだ不安定な状況であることには変わりないので、現在の状況とこれからについて簡単にまとめます。
目次
コーヒー相場高騰の発端
コーヒー相場価格の高騰は2021年1月からのブラジル生産量減産懸念と、2021年7月末に発生した産地が凍結する『霜害』の発生を発端としています。過去の相場高騰理由と、推移に関してはこちらの記事『コーヒー相場の高騰について』をご覧ください。
アラビカコーヒー相場推移(2021.03-2023.06)
以下のグラフはコーヒー相場価格が高騰しだした2021年3月から現在にいたるまでのアラビカコーヒー相場推移です。
ロブスタコーヒー相場推移(2021.03-2023.06)
現在のコーヒー相場価格はアラビカ種に次ぐ生産量のロブスタ種抜きには語れないので、同期間の相場推移を以下に記載いたします。
現在のコーヒー相場状況
ロブスタ種は供給量は減少しているのに、需要数が多い(アラビカ種が高いので)ことから相場価格もかなり上昇しており、過去10年で最高価格になっています。ロブスタ種最大の生産国であるベトナムでの生産量は減少見込みであり、現地農家も在庫を持っていないことからロブスタ種の取り合いが始まっています。次いで生産量の多いインドネシアでも豪雨による収穫量減少懸念があるようで、昨年比15%以上の減産が予想されているようです。。。どこの商社に問い合わせしても「在庫ありません!」と言われる状況で、在庫が逼迫しております。ロブスタ種の在庫が薄い・価格が高い状況になると「じゃあアラビカ種に変更だ!」となる為、この5月、6月はアラビカ種の価格も大きく上がりました。
従来ならアラビカ種の相場価格が高騰すると、価格高騰分を薄めるためにロブスタ種を使用する流れになるのですが、現在はそのロブスタ種がもはや価格的な優位性がほとんどなくなっているような状態です。日本国内では工業用・業務用・小売用と幅広く使用されるロブスタ種がここまで価格があがると、いくらアラビカ種の価格が少し下がったとはいえ、トータルでは原料価格に大差ない、むしろ上がっている場合も考えられます。
ロブスタ種とアラビカ種では品質的優位性がアラビカ種にありますが、アラビカ種だけでは出せない「濃厚感」、「苦味」といった成分がロブスタ種にはありますので、夏場のアイスコーヒー商品に使用したい業者にとっては品質的にも、価格的にもかなり厳しい状況なのではないかと思います。(弊社もかなり厳しいんです・・・)
今後の予想
アラビカ種はブラジルでの収穫状況が好調なことや、収穫量も期待できることから相場は少しずつ下がり始めてはいますが、2年前の7月のように霜害が発生しようものなら価格はまた大きく跳ね上がる可能性がありますので、全く安心できるような状況ではありません。ロブスタ種はかなり高水準な価格になってきているため、これまでのような価格的優位性によるメリットがなくなっております。商社さんが言うには国内の在庫もかなり薄く、来年までは入荷されないので今の内に在庫を持っておくか、ロブスタ種に頼らない商品設計が必要になってくると思います。
ここまでご覧いただき有難うございました。
投稿者プロフィール
- 西埜元成
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アラブ珈琲株式会社の西埜元成(にしのもとしげ)と申します。
高校生の頃からコーヒーに関わる仕事を始めて早20年。
焙煎豆の挽き売り、生豆商社での経験を活かして生豆販売、
焙煎豆商品の商品設計、焙煎豆製品の製造管理、
自家焙煎店への生豆販売や焙煎サポート 等々コーヒーに関係する
業務に従事しております。
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