コーヒー相場の高騰について
エネルギー問題や為替の影響で数々の食料品の値上げ発表がある昨今、コーヒーは2021年の1月頃より
先んじて相場価格が高騰し、同年の7月末にはブラジルでの霜害(そうがい)を発端とした
相場価格の急騰がありました。お客様には数度の値上げを行い大変心苦しくありますが、
改めて相場の高騰要因と、現在の状況と今後についてお話したいと思います。
目次
①コーヒー取引価格の決まり方
まずはコーヒーという作物の価格に関してです。コーヒーは先物商品としてアラビカ種がニューヨーク商品取引所、カネフォラ種がロンドン国際金融先物取引所によって取り扱われており、ここでの相場変動が原料価格に影響を与えます。(アラビカ種とカネフォラ種についてのお話は別の機会に・・・)
今回はそもそもの価格が高いアラビカ種のほうが最終的な販売価格に影響を与えることを考慮し、アラビカ種メインでお話します。コーヒーの相場情報自体は「アラビカコーヒー 相場」とネット上で検索すると日々更新される相場価格が検索できます。
コーヒーの価格は米ドル価格で、1ポンド(約435g)単位で値付けがされており、先物価格チャートではUSD(セント)/ポンドで表示されています。コーヒーの商社マンは日々このチャートを確認しながら、生産国からの生豆買い付け・製造者への生豆販売を行っており、弊社のような焙煎業者は日々商社様に『今日相場下がりましたね!!ブラジルいくら!?』といったお問合せをしています。
②相場価格の変動要因
1生産地での生産状況
コーヒーは農作物ですので、この生産量に応じてコーヒー相場は大きく変動します。特に生産量の多いブラジル、コロンビア、ベトナム(ロブスタ種がメイン)で『降雨量が少なくて生産量が減りそう!』『台風の影響で結実した実が落ちた・・・』などなど生産量の減少が懸念されるニュースが出た際には相場は大きく動きます。
2投機筋の動き
コーヒーは上述の通り『先物商品』です。実際に商品を購入する側からすれば、相場変動による値上がりや、商品欠品を防ぐために先物契約を行うのですが、上記のように生産・生育状況に懸念があるニュースが産地から発表されると、『これはコーヒーの値動きが激しくなりそうだから、安いうちに買っちゃえ!』という投機筋の売買によって相場が大きく変動することがあります。
3生産状況以外の状況
上記以外に、生産状況とは関係なく社会情勢によって価格が高騰する場合もあります。2021年はコロナによる問題も大きく発生しており、
『人員が不足していて、コーヒーの実を収穫できない!精選できない!』『輸出するため港に持ってきたけど、中国に行ったコンテナが消毒問題で帰ってこない!』といった問題が多々あり、流通遅延による値上がりが発生しました。
また、2021年には「モカ」の銘柄で知られるコーヒーを生産するエチオピアでの内紛、2022年2月からはコーヒー生産地で使用する肥料を生産するウクライナ、ロシアの紛争が始まり生産コストが高まるという事態が発生しました。以上3点の要因でコーヒーの相場は変動いたします。
③相場推移2021.01-2023.01
以下図はアラビカコーヒーの相場価格推移と、高騰・下落について記載したものです。ここ数年はとても安定しない相場となっており、弊社アラブ珈琲含むコーヒーに関係するさまざまな業者様が値上げを余儀なくされているのをご容赦頂ければと存じます・・・。
上記のグラフだけではどれほど価格が高騰しているのかわからないと思いますが、最も相場価格が高い2022年2月頃には高騰前の2021年4月頃に比べて原料価格が倍近くまで上昇し、急激な円安となった2022年10月には誇張なしで2.5倍ほどの原料価格となりました。
④今後のコーヒー相場に関して
コーヒーに関する仕事に携わって20年経ちますが、正直に申し上げると予測不能です・・・。それでもプロか?とお叱りを受けそうですが、昨今の温暖化問題による生育不良や世界的な情勢不安からコーヒー相場の先行きを見通す事は非常に難しくなっております。直近での相場変動要因としては『ブラジルでの生産数量』、『ブラジルでの霜害懸念』などが挙げられますが、これらの問題が解消されれば相場価格も下落する可能性がございますが、現在の状況では、大きく下がる要因があまりございません。
終わりに・・・
上記の通り、コーヒーは昨今の値上げ続出前から価格が高騰しております。仕入れに最善をつくし、お客様への納品価格を改定できるように尽力しておりますので、その時期が来ましたらまたご案内させていただきます。ここまでご覧いただきありがとうございます。
投稿者プロフィール
- 西埜元成
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アラブ珈琲株式会社の西埜元成(にしのもとしげ)と申します。
高校生の頃からコーヒーに関わる仕事を始めて早20年。
焙煎豆の挽き売り、生豆商社での経験を活かして生豆販売、
焙煎豆商品の商品設計、焙煎豆製品の製造管理、
自家焙煎店への生豆販売や焙煎サポート 等々コーヒーに関係する
業務に従事しております。
コーヒーに関係する質問や、お店の開店、焙煎方法等で質問ございましたら、遠慮なくご連絡ください。